映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『黄色い星の子供たち』灰は語らない

黄色い星の子供たち
~ La Rafle. : The Round Up ~


監督: ローズ・ボッシュ   

出演: メラニー・ロラン、ジャン・レノ、シルヴィー・テステュ、ガド・エルマレ、ラファエル・アゴゲ、ユーゴ・ルヴェルデ、オリヴィエ・シヴィ、マチュー・ディ・コンチェート、ロマン・ディ・コンチェートレベッカ・マルデール、アンヌ・ブロシェ、イザベル・ゲリナス、ティエリー・フレモン、カトリーヌ・アレグレ
公開: 2011年7月


       

DVD鑑賞。

「黄色い星」とは、ナチス占領下のヨーロッパでユダヤ人が胸に付けることを強制されていたあの「星」の事。

実は2012年最初のDVD鑑賞がこれだったのですが、あまりに重くて書けないでいる内に「サラの鍵」を劇場鑑賞してしまい、そっちを先に上げてしまったせいでますます遅れてしまったという…

という事で…このレビューの内容の多くは「サラの鍵」と被っています。

どちらも、1942年のフランスの黒歴史「ヴェル・ディブ事件」(ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件)について描かれた作品だから。
【参考】ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(en:Vel' d'Hiv Roundup)by Wikipedia(外国語ページです)


1942年、第二次世界大戦時、フランス警察は自らの手でフランスに住むユダヤ人1万3000人を大量検挙し、ヴェロドローム・ディヴェール・冬期競輪場へ移送した。子供から大人まで、年齢・性別・職業そして、体調関わりなく検挙は行われ、ここからドイツの強制収容所へ送られていった。

検挙されたユダヤ人たちは、1万3000人の内400人しか生きて帰ってこなかったという。



この当時、フランスはナチス占領下にあり、フランス政府は長い間「ヴィシー政権はフランスと関係ない」と、この事件と関わる事を避けていたらしい。
1995年、シラク大統領がフランス政府の責任を認め、初めて世に知られる事となった。フランスの比較的新しい黒歴史であり、第二次世界大戦後ようやく蓋が開かれたという事になります。

「サラの鍵」レビューを書く時にネット上で参考になるページを探したのだけれど、出てくるのはこの「黄色い星の子供たち」に関連するページばかり。

Wikiにさえ、「ヴェル・ディブ事件」に関する日本語ページはないのです。

そういう意味でも、私たちはこの作品を見なければならないし、知らなければならないと思う。

作品中でヒトラーは言うのです。

「灰は語らない。何万人だったか。大人だか子供だか。」

灰になって消えてしまい、証人がいなければ、事実は残らないという事です。

しかし、全ては灰にならなかった。わずかに生き延びた証人はいた。そして、この事実を見ていた人たちもいた。
この作品は、その証人たちの「声」です。


とにかく、ほとんど泣きながら見た。
前半はフランスの人たちの人情に泣き、中盤はユダヤ人に与えられる試練に泣き、ラストは…

ラストシーンには、とてつもない感動が待っているわけだけれども、それは伏せておきます。しかし、その感動は大手を振って「良かった良かった」と言って良い物ではないのです。

だって、こんな事さえ起きなければ普通に暮らしていた普通の家族だったわけなのだから。

安心できるはずの環境で、人種差別が多くの犠牲者を作った。これは、現代だから関係ないとは言い切れない話です。

それでも、フランスの人々が彼らを匿い助けたおかげで、検挙予定だった人数よりも1万人は救われたというのだから…

やはり、人を救うのは正しい物を見極める力と勇気なのだろう。

国でも、教室でも会社でも…追い詰められる人たちを救う事が出来るのは「正義」。ただそれだけ。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


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「信じたことが間違いだった」

ヴェル・ディブに詰め込まれて、彼らは思う。

フランスに住んでいたユダヤ人たちは、フランスは味方で自分たちを守ってくれる存在だと信じていた。一斉検挙の噂は誰も信じなかったと言う。

ユダヤ人という「弱い者」を監視する立場になってライオンのようになった警察に、ナースのアネットは「それが本当にあなたたちの仕事なの?」と叫ぶ。

最後まで黄色い星を付けた子供たちに付き添い、彼らのために尽くしたアネット。

しかし、連れて行かれた子供たちは誰も帰ってこなかった…

終戦後、わずかに生き残って戻ってきた中から、ノノを見つけ、抱きしめるラストに声を出して泣いた。

優しい人に拾われて養子になったというジョーも…。

そういう、わずかに登場する「優しい人たち」の存在が人を救い、国を救う。

集団心理は恐い。

何かが責められている時は、その方向が本当に正しいのか、一度考えてみなくてはいけないと思うのだ。
ネット上でも、たくさん見かけます。

人間は、言葉が違っても、みんな一緒なんだよ…

・「黄色い星の子供たち」 公式サイト

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