『ブラック・スワン』ハリウッド版・世にも奇妙な物語はスケールでかい

ブラック・スワン~ BLACK SWAN ~

監督: ダーレン・アロノフスキー   

出演: ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー
公開: 2011年5月11日

  

第83回アカデミー賞 主演女優賞受賞(ナタリー・ポートマン)

劇場鑑賞です。感想をおさぼりしていたのを今頃UP。
(この記事は2011年11月に思い出し書きしています。)

ナタリー・ポートマンがこの役のために、どれだけ力を尽くしてきたか…
それが見るだけで解る演技が素晴らしい。

優秀だと言われながらも何かが足らず、輝くことが出来ない主人公が、抜擢されたことからだんだん狂気に陥っていくさま。
ナタリーの鬼気迫る演技と、追い詰められる姿を衝撃的に映していく演出で、スクリーンに目が釘付け。

下手なホラーよりも、ずっと怖いです。

ラストの「白鳥の湖」は、本当に素晴らしかった。

ナタリーは、終始眉間に皺を寄せて、本当に「ギリギリまでになった人間」をリアルに演じていた。
見ているこっちまで息が苦しく、押し潰されそうに思えたほど。

ストーリーのオチは想像力を膨らませれば、どうとでも取れる。
恐くて奇妙で精神的に不安定になる世界。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


黒鳥を踊れる妖艶なリリーは白鳥を踊れるのか?!

これが、観了して一番最初にツレ友と交わした言葉。

真面目、一途、男を誘惑できないニナは黒鳥を踊れない。
男と遊び放題なリリーは純真な白鳥も行けちゃうの

それは何だかおかしい気がする。
リリーはニナとは逆の事で悩むことはないのかな。

上にも書いたけれども、どうとでも取れる結末は面白かった。

全てが完成して絶頂の内に幕を閉じることが出来たニナは絶命する…(たぶん)

しかし、この舞台そのものがニナの幻想で、実は舞台にすら立っていないかも知れない。
舞台には立っているけれども、途中で倒れているかもしれない。
殺されたのはニナだというのは幻想で本当にリリーを刺しているかも知れない。
いや、リリーなんて人さえ初めからいなかったかも知れない。
全てが幻想で、実は病院の中で踊っているのかも知れない。

こういう余韻は好きです。想像が無限に広がる。

だから、一番怖いなと思ったのは、親の過干渉における子供の精神的ダメージです。

こんな娘が生まれたのは、母親が自分の願望を押し付け、抑えつけ抑えつけてきたからなんだよね、たぶん。
娘は、プレッシャーに負けて壊れてしまった。

黒い羽を広げて、母親の抑制から飛び立とうとしたんだ・・・

そんな風に見えて仕方なかった。

 


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・象のロケット

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