映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』悲しみと怒り

ダンサー・イン・ザ・ダーク
~DANCER IN THE DARK~


  

監督: ラース・フォン・トリアー
出演:  ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、ピーター・ストーメア、デヴィッド・モース
     
公開: 2000年12月


第53回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞


この映画は、おすすめではない。
だからって別に駄作ではない。

感動なんか、しない。
でも、涙は出る。

それは別に感動の涙ではなく、主人公と同化したあげく勝手に出てくる涙である。
そして、その涙が乾く衝撃のラストが待っている。


主人公セルマは、ちっとも美しくない。生活感丸出しで、スッピンで髪も乱れまくっている。物語にロマンはなく、あるのは現実と空想だけ。ドキュメントのようだ。

テレビのCMで「かつてない感動」などと言ってたが、感動などない、救いのない世界が展開されていく。
あるのは・・・怒り・・・とか、いらだち、かな。


だって、主人公は、子供を救うために戦う母、などではない。
何かのために犠牲になっていく、かわいそうな女、でもない。

セルマの身に降りかかる出来事の種は全て彼女自身がまいている物なのだ。

言わなければいいことを言ったり
言えばいいことを内緒にしたり
わけのわからないウソをついたり・・・

衝撃のラストは、全て彼女自身がまいた種なのである。


彼女に同化できるのは、ラストわずか一時間弱の中の事である。

そこには、誰でもが感じられる悲しみや恐れがあり、それが涙を流させるのである。

でも、彼女に同化している観客なら、ラストシーンの後まで泣いていることはできないはずである。

だって、セルマ自身も、もう泣くことはないのだもの。


※この記事は当方が2000年から運営している 某HPの日記コーナーから2009年にお引っ越ししてきた簡単過去記事です。


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