映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『大奥』2006年・仲間由紀恵 版 -陰謀・江島生島事件-

大奥

  

監督: 林徹
出演:  仲間由紀恵、西島秀俊、高島礼子、及川光博、北村一輝、井川遥、杉田かおる、麻生祐未、中山忍、木村多江、鷲尾真知子、山口香緒里、久保田磨希、江波杏子、谷原章介、竹中直人、平泉成、鈴木砂羽、徳井優、佐藤仁美、木下ほうか、本田博太郎、火野正平、原田龍二、田口浩正、小倉久寛、星野真里、山田明郷、小松みゆき、澁谷武尊、浅野ゆう子、松下由樹、柳葉敏郎、藤田まこと、岸谷五朗、梶芽衣子

公開: 2006年12月


煌びやかな衣装や目に映える庭の緑。
色の華やかな大変美しい映画である。

年内に見てしまったが、正月に行けば見るだけで正月気分を味わえただろう。

しかし、ストーリーは映像の美しさとは裏腹にドロドロ。。。。いや、映画であろうと、大奥ですから。

学校などでもそうだが、人間は閉じこめられた世界では他人でウサを晴らそうとする習性があるらしい。女だらけの世界では、職場もドロドロしている事は多い。

大奥の女は将軍に仕える者として外の世界を許されない。しかも、気になる事は将軍の寵愛と言う自分と子供と一族の将来に関わる事である。だから、他を蹴落とそうとする気持ちは、生半可ではない虐めと言う形で表れる。

テレビシリーズから続いている大奥だが、ここで描かれる世界は、全てが作り事とは
言えない物があっただろう。

実際は、もっとすごかったかも知れない。

今回の舞台は、七代将軍・徳川家継の時代。

この将軍は、将軍とは名ばかりの僅か五つの幼児だった。生母は六代将軍・家宣の側室・月光院。この月光院に仕えるのが、絵島であった。

この物語は、実際にこの時代に大奥を騒がせた、大奥史上最大のスキャンダルと言われる「江島・生島事件」を題材にしている。


私は、この江島と言う人が好きで。。。

町育ちで、キッパリサッパリした明るい気性の女性だった、と思っている。同じく、町育ちの出自である月光院とは、気が合って、お互いを大切にする主従だったらしい。

後で書くが、この「江島事件」は、有名スキャンダルと言う事で歌舞伎などの題材にもなり、役者と情を交わして流罪になった様子が湾曲されて伝えられている。

映画でも、そういう曲がった歴史が語られるんだろうなぁ。。。
と、ちょっと不安で見に行ったのだが、意外な事に、私はこの映画版・絵島に好感を持った。

私が思っていた、気っ風の良い明るい女性像とは違ったが、真っ直ぐな女性を仲間由紀恵は淡々と演じていた。


ストーリーの方も、それほど絵島を貶める物ではなく、カゴの中で真面目に生きてきた絵島が、美しい一夜の夢を見る。その姿は清らかで美しかった。

ちょっと、イメージが違ったのが月光院の方。

私の中では、月光院も町育ちの気っ風が良い明るい女性であったので、ああ言う月光院はな~。。。。

映画としては、面白く見れたけど。

いつの時代でも、身分がどうでも、皆同じ。
女は、恋に狂うと恐いんだな。。。

 

史実の絵島生島事件について

絵島の名誉のために書いておきますが、実際には絵島生島新五郎の間には何も無かったと言う説が有力だ。


歌舞伎などでは、長持に入った生島が奧に忍んできて絵島と情を交わす等という話になっているらしいが、絵島生島が会ったのは、この事件の発端となった芝居見物の日ただ一度だけ。情を交わす間などないのである。

映画では描かれていなかったが、この事件で絵島は高遠藩にお預け。絵島の兄などが死罪。義理の兄であった医師・奥山交竹院など多くの人が流罪。生島新五郎も、実際は死罪ではなくて流罪である。

2人を引き合わせたとされた山村座はお取りつぶし。この事件に連座したとして処分された者は千人にも及んだ

あまりにも異例の早さで行われた処分と、実際には裏で認められていながら処分の対象となった芝居見物。

これを裏で糸引いていたのは映画の通り、家宣の正室・天英院熈子である。
げに、女の世界は恐ろしい。

映画とは違って、本当に何の罪もなく、ただ芝居見物のために門限に遅れただけだったのを切っ掛けに絵島はハメられたのである。

月光院の周りの者は、絵島を始め町育ちで…たぶん、裏表がなくサッパリした性格の持ち主ばかり。都から来た策略の得意な天英院側の罠に気付くことが出来なかったのだろう。

絵島は高遠にお預けになり、自分のせいで死罪になったり流されたりした人たちの事を思い、監視が甘くても 贅沢は一切せず、尼のように暮らしたと言う。

そして流罪になって28年後、61歳で幽閉先で亡くなった。


江島関連お薦め図書
絵島疑獄(上)〈下〉杉本苑子
 


この記事は2009年に楽天ブログからインポートしてきた過去記事です。コメントはお引っ越し出来ましたが、トラックバックは引っ越せませんでした。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへお余所の映画レビューはこちらから「にほんブログ村」


大奥@映画生活トラックバック