映画@見取り八段

自己満足映画批評ブログです。邦画・洋画などジャンル問わず観賞。劇場上映中作品のネタバレ感想は別枠で表記。ランキングは年末総評価まとめで。

『手紙』今いる場所から逃げないという事

手紙

     


監督: 生野慈朗
原作: 東野圭吾

出演:  山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹越満、尾上寛之、吹石一恵、田中要次、山下徹大、石井苗子、原実那、松澤一之、螢雪次朗、小林すすむ、松浦佐知子、山田スミ子、鷲尾真知子、高田敏江、大橋智和、佐伯直之、安田暁、有川マコト、景山英俊、猪口卓治、西堀亮、滝沢秀一、岩佐まり、関根由佳梨、深沢菜央、司容熱子、宇和川士朗、360゜モンキーズ、ダーリンハニー、沢本ゆきみ、寺田千穂

公開: 2006年11月3日



その手紙は、時を遡り遡り
懺悔の言葉を繰り返す。
般若心経のように。


犯罪者の身内とは、こんなにも差別を受け続けるものなのか。

罪を犯した者は塀の中に入ってしまえば、外を知る事はできない。
罪を償うと言う事は、剛志にとっては塀の中の孤独と闘う事だったのかも知れない。

ただ、一つ。手紙。
自分と外を繋げる手紙。

弟から来る手紙を待つ。そして、書く。


しかし、弟にとっては、兄から来る手紙は、ただの手紙ではなかった。

手紙が届くたびに思い知らされる。
自分は犯罪者の身内であると言う事実を。


電気店の会長が言っていた言葉が心に響く。

「きみの受けている差別。
それも含めて、お兄さんの罪なんだ」


例え、自分は何もしていなくても、犯罪者の身内であるから差別される。
では、兄は、その事を知らなくてはいけないのではないだろうか。。。

「差別のない国を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ・・・」


そうして、ここで生きていく決心が着いた直貴に新しい道がやっと見えてくる。

結婚し、守らなくてはならない家族を持った時、今まで出来なかったこと。
やらなくてはならなかったのに、やらなかったこと。

それは、兄に自分の苦しみを伝える事。

その最後の手紙で、兄は初めて自分に課せられた本当の罰を知り、今までよりも、より苦しむ事となる。

そして、弟は罰を科した兄を見捨てる事なく支え続ける事を宣言するために兄の元へ向かうのである。

とにかく、登場人物の強さに感動する。

剛志が罪を犯してから、その事は一言も兄に言わず世間の差別に耐え続けた直貴と、それを演じる山田孝之は素晴らしい。

そして、沢尻エリカ演じる由美子が、本当に仏さまのように強く優しい女性なのだ。
(TVドラマ「タイヨウのうた」でのガッカリは、この映画で晴らすことができました汗.gif

この2人ならば、この先もずっと互いを支えながら、罪を償い続ける兄を見守っていく事ができるだろう、と 確信できるラストだった。


最近、自ら命を断ってしまう人が増えている。
自分のいる場所を探しきれず、逃げてしまう人が何て多い事か。

この映画に出てくる人たちは、誰も自ら命を断ったりする事はないだろう。

弟は兄を見守らなくてはならず、
妻は夫を支えなくてはならず、
兄は弟のために罰を受けなくてはならないからである。


人との関わりが人間を強くする。
今いる場所から逃げず、そこで関わりを見つけて生きていくこと。
その難しさと、やり遂げる尊さを教えてくれる作品だと思う。


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この記事は2009年に楽天ブログからインポートしてきた過去記事です。
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